株主とは、その法人の株式を所有してい
る人をいいますが、その株式の保有割合
や株数で、その株主の権利は大きく変わ
ってきます。
ここでは、それぞれの株主の権利につい
て、紹介していきたいと思います。
1.1株以上持っている場合の株主の権利
・議決権
株主が集まってその会社の意思決定を行
なう最高意思決定機関が株主総会であり
ます。そこにおける議決権を持つという
ことになります。
・配当請求権
株主がその会社へ行なった出資に対する
金銭的な見返りを、配当として会社に請
求することができる権利を持っていると
いうことであります。
・残余財産請求権
会社が解散して、清算が完了した後に残
った財産を残余財産といいますが、その
残余財産の分配を受ける権利を持ってい
るということであります。
・株主総会への議案提出権
株主総会で検討されることとなった「議
題」に対して、株主の権利として「議題」
に対する回答である「議案」を提出する
ことができる権利があるということであ
ります。
・計算書類等の閲覧権
計算書類等とは、計算書類(貸借対照表、
損益計算書、株主資本等変動計算書、個
別注記表)と事業報告書並びに付属明細
書でありますが、それらの閲覧を会社に
請求することができる権利を持っている
ということであります。
・定款や株主名簿の閲覧権
上記と同様、その会社の定款や株主名簿
を閲覧する権利を持っています。
・株主代表訴訟の提訴請求権
その会社に対して役員等の責任を追及す
る訴えを提起することを請求する権利を
持っているということであります。
・取締役違法行為の差止請求権
取締役が会社の目的以外の行為や法令や
定款に違反する行為をした場合に、その
取締役に対して、その行為をやめるよう
に請求する権利を持っているということ
であります。
・募集株式の発行等をやめることの請求
権
会社の新株発行が、著しく不公正な方法
で行われる場合に、その新株発行をやめ
るよう請求することができる権利をもっ
ているということであります。
・株主総会決議の取り消しの訴えを提起
する権利
総会の日から3カ月以内に限り、その株主
総会の決議事項の取消しの訴えを提起す
る権利を持っているということでありま
す。
(ポイント)
株主は、その会社の所有者となりますの
でその所有者が保持すべき権利がこれら
の権利であるといえます。その意味では
株主に認められている最低限の権利とい
ってよいものであります。
会社から経済的な利益を受ける権利であ
る「自益権」が表象されたものであると
いえます。
全般的にみると、その株式の所有者とし
ての権利は認められている一方、その会
社の経営に対するコミットや提案という
レベルでの権利を十分に有しているとは
いえないものであるといえます。
2.議決権1%以上もっている場合の株主
の権利
・株主総会への議題提案権
最高決議機関である株主総会にて決議す
べき「議題」を提案することができる権
利をもっているということであります。
総会にて話し合うためのテーマを自ら提
案することができるということになりま
す。
・議案の事前通知権
株主総会にて提案されている議案を事前
に知らせてくれるよう、会社に請求する
ことができる権利を持っているというこ
とであります。
・株主総会等の検査役の選任
総会の招集手続きや決議方法が適正に行
われているか調査する人が、検査役であ
りますが、その検査役の選任を事前に請
求することができる権利をもつというこ
とであります。
(ポイント)
その会社の最高意思決定機関である株主
総会における権利に関するものがみられ
ますが、その総会における権利として徐
々にその主体性が認められるものとなっ
ていることがわかります。つまり、株主
総会に参加する権利から、株主総会にて
提案・提言する権利が認められ、権限が
広がっているということであります。
重要事項を決議する株主総会における取
決めについて、能動的な働きかけを行な
うための権利を有することから、会社経
営へのコミットメントが許容されつつあ
るといえます。
次回に続く。
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